慰安婦を描いた映画「귀향 鬼郷」を見に行ってきました。
- 公開日 : 2016年03月14日
- 更新日 : 2017年01月27日
韓国で300万人を動員している映画「귀향 鬼郷」を見に行ってきました。
一部ネタバレするような箇所もあるかと思いますので、映画を見たい方は、映画を見てからお読み下さいませ。
映画「귀향 鬼郷」の「귀 鬼」の意味
この映画のタイトル「귀향」という言葉は帰郷(ききょう)という意味を持っている言葉です。
- 귀향
- クィヒャン
- 帰郷
いわゆる従軍慰安婦だった方々が故郷に帰りたいという思いが詰まったタイトルですが、そこに「鬼」という文字が使われています。
日本からすると鬼はとても悪い印象が強い文字ですよね。
韓国でも同じような印象もありますが、死者の魂というような意味合いで「귀 鬼」という文字を使い、
魂が故郷に帰るという意味で「귀향 鬼郷」というタイトルになったようです。
ですが、韓国でも悪い印象の強い言葉ではあるので、日本軍の悪というニュアンスも含まれているというような印象を持った方もいるようです。
私も最初はそういう意味だと思ってましたからね。
【一部ネタバレ注意】映画「귀향 鬼郷」をみた私の率直な感想。
まず1つ目のの感想として、非常に重たい内容の映画でした。
この映画はいわゆる従軍慰安婦だった方の証言を元に作成されたフィクションの映画です。
登場人物等、事実とは異なる内容はありますが、証言を元に再現した内容も含まれている「すべてが事実とは言えないが、全くの虚偽でもない」という部分を忘れてはいけないな、という内容でした。
というのも、私が感じた2つ目の感想が、これがすべて事実であるかのように捉えられ、失礼ではありますが、この映画が慰安婦だった方々を見せ物にしているように感じてしまったからです。
本当に故郷を思い、帰ること望んでいたストーリーを描くのなら、過剰に表現された部分(殺されたはずの日本軍兵士がいわゆる従軍慰安婦を殺すために、再度現れるシーン)は、必要だったのか疑問に残ってしまいます。
フィクションとは言え、事実の部分も含まれているのならアクション映画のようなシーンがなくても伝わる部分はあるとおもいますし、
あそこまで煽って更に感情を高ぶらせてしまうことに、韓国の方の怒りや恨みという思いが伝わりますが、映画を見た方にフィクションの部分までを事実かのように受け取らせてしまい、余計な怒りや恨みを増幅させてしまっている終わり方だと思いました。
まぁそれが映画というものなのかもしれませんが。
スタート地点の違いを理解する。
私的にはなぜこの問題がいつまでも怒りをもって伝えられ、このような映画にまでなるのかが理解できておりません。
ですが、この時点から韓国の方とのスタート地点が違うのです。
韓国では、過去ではなく現在進行形の問題。として扱われている。
正直今の私のような日本人には戦前の話として過去の問題の印象が強いのですが、韓国では今も元慰安婦といわれる方々がご存命で辛い思いをされているということです。
また、慰安婦になった経緯も解釈の違いがあります。
韓国では、女衒(ぜげん)だろうが、誰が連れて行ったなどが問題ではなく、日本軍が必要としていたことが自体が問題で、軍には逆らえないという当時の空気などから強制性があったと感じている。
私は日本のニュース等で知った内容としては、軍が強制的に連れて行ったことはなく、女衒(ぜげん)と言われる女性を売買する業者によって無理やり連れて行かれたことはあったかもしれないという解釈ですが、これも入り口から違いました。
他にもたくさん相違の点があり、これはもう私のような一般市民がどーこーいって解決できるような問題ではないと思います。お互い納得の行くものではないかもしれませんが、慰安婦の方々に謝罪の気持ちを持って2015年末、政府間で日韓の合意がされたと思います。
意見が違うということを理解し、お互いの思いを素直に聞くということで、私たちはこの話を歴史家の方々にお任せしませんか?
「agree to disagree(서로 다름을 인정하다)」
これはもちろん韓国の方にもお伝えしたいことです。
歴史や国に対して私が思うこと
そして私が違和感があるのは、慰安婦とされる方々はこんなに韓国や日本でもニュースで取り上げられるのに、他の方々のお話は全然聞こえてきません。
また失礼なことをいってしまうかもしれませんが、慰安婦とされる方々だけが辛い思いをされてきたのでしょうか?
戦争という不遇な時代に、様々辛い思いをされ大変なことがあったと思います。
忘れてはいけないのは慰安婦とされる方々だけでなく、戦争で亡くなった方々、苦しんでいた方、すべての人達に謝罪の気持ちと、2度と繰り返さず未来に受け継がれるように、忘れてはいけないのではないでしょうか。
私が思うに、敵を作ることで、自分の国を想う気持ちを愛国心とすることをやめた方がいいです。
他国のこういうところが嫌いで、そうじゃない自分の国が好き。みたいな敵を作って同じ意見の仲間と固まるような陰湿なイジメのような考えを、国単位でやってしまうと争いが始まってしまうのでは?と思ってしまいます。
映画「귀향 鬼郷」を300万人が見た。様々な声。
映画「귀향 鬼郷」は、2016年2月24日から上映が開始されたにもかかわらず、3月14日の時点で観客動員数が300万人を超えたようです。
この映画をみていろんな考えをもつことはいいことだと思います。実際、韓国のネット上で討論が起きたりしています。
私は映画を見て忘れないことの大切さを教えてもらいました。ただ、余計な怒りと恨みが先に出て「だから日本は・・・」となってしまうようなら、残念に思います。
忘れないことと、問題を解決することは別ではないでしょうか。
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